悦子スペシャル
昨日は悦子に会いに行った。
実は彼女と二人で会うのは初めてだった。
ツイッターでなんとなく二人で会おうという話にはなっていたが、数日前に急に具体的な話になり会うことになった。
実はかなり緊張していた。
二人で会ったことなんかないし、そもそも話題が続くのか。
不安で仕方がなかった。
夕方まで原宿で仕事があったので、原宿から渋谷まで歩くことにした。
19:00くらいに原宿を出発したら、15分くらいで着いてしまった。近いんだな、本当に。
待ち合わせは19:30だったので、東急百貨店に入り、時間を潰した。
椅子に座ってぼーっとしていたらあっという間に33分になっており、悦子から着いた旨の連絡があった。
急いで東急百貨店を出て、悦子の元へと向かった。
「あれ、君ってそんなサイズ感だったっけ?」
彼女の第一声はそれだった。私の身長が低いことにかなり驚いていたようだった。
先ほど予約をした居酒屋に行く。
もつ鍋が食べたかったのでもつ鍋の店にした。
「最近はどんな感じ?」とか「結局君ってどんな仕事してるの?」などという話をしていくうちに、私もようやく悦子と打ち解けるようになってきた。
編集の人から怒られが発生しているという話とかでまた不謹慎にゲラゲラ笑ったりなどした。
すると彼女はこんな話をした。
「こないださ、4限だけ空いてた時にどこも場所が空いてなくてさ、教授の部屋で作業してたら怒られたんだよね」
図書館もどこも空いていない時に、つい忍び込んだ7号館があまりにもしんとしており、廊下の一番奥にあったの教授の部屋が空いていたので作業をしていたら怒られたらしい。
「いや、怒るでしょ。自分の部屋で知らない人が急に作業してたら怖いよ」と私。
「最初に怒られたのは『ここは飲食禁止です』だったんだよ。たまたまチョコ食べててさ。チョコさえ食べなければ本当は怒られなかったんじゃないかって思うんだよね。」と悦子。
自分の部屋で知らない誰かがチョコを食べながら作業をしている。どう考えても怖いし、普通に不法侵入である。
「その教授は『何やってるの〇〇(悦子の苗字)さん!』ってならなかったの?」
「いや、自分の学科ではさすがにできないよ。仏文科でやったの。」
ますます怖い。本当に知らないやつじゃん。犯罪一歩手前じゃん。
「怖いよそれすっごく怖い。」と言うと
ちょっと沈黙があった後
「君に言われるまで正直悪いことだなんて全く思わなかったよ。」と言われた。
よかった、わかってくれてありがたい。
もう一つ特筆したい話。
彼女が昔付き合っていた男と喧嘩になり、背後から跳び蹴りをしたらしい。彼はバランスをいとも簡単に失い、前に倒れた。彼を残して彼女は電車に乗った。
「その間さ、ずっと怖かったんだよね。あまりにも簡単に倒れたからさ、死んじゃったんじゃないかって。殺しちゃったかなって。」
それはなんとなくわかる。別に相手のことを考えているわけではなく、自分の身に不幸が降りかかるのを極端に恐れている。怒られるのが怖かったりするのもたぶんそういうことなのだ。
「それでどうしたの?」
「CDを借りてるのをおもいだしてね、『CDよかったね』ってLINEしたんだ。聴いてなかったけど。」
わたしも悦子の立ち場になったらたぶん同じことやる。
「でもずっと返ってこなくって、ネットで刑期とか検索しちゃった。殺意がなくて人を殺したら何年かなって。」
結論から言うと彼は生きていたし、その後別れたらしい。彼にとっても悦子にとってもよかった。
正直悦子ってもっと感覚が人より違っていてすごいサイコパスなのではないかと思っていた。(よく「人の爪はがしたい」とか言ってたし)
でも意外とそうでもなかった。むしろ私の感覚とかなり近いところで生きているということがわかったのですごく親近感が湧いた。とても有意義なサシ飲みになった。
今度は旅行とか行こう。